恋愛論


あんたとの恋愛は
思えば楽しいことばかりでもなかった。

好きだった。
一番大切だった。
ずっと一緒に居たかった。

それは間違いないのだけれど、それだけじゃなかった。

羨望、劣等感、妬み
それらの感情は常についてまわっていた

だからとても苦しかった。
愛しているのに愛しきれない。
愛しているのか憎んでいるのかそれさえわからない。
そんな感情の嵐に揉まれたことは一度や二度ではなかった。

そしてそんな感情をうまく昇華しきれないままあいつは死んでしまった

考えてみるととてもいい恋愛だとは言い切れない

けれどそれでも

出会わなければよかったなどとは一度たりとも思ったことはない

そう、一度だってないんだ


…そういうことなんだと思う


今更、だけどさ。